Blog by 大貫憲章

THE GOGGLES〜魔法の輝きを永遠に!

 毎日言うことだろうけど、暑い。本当に暑い。てゆーか、暑過ぎるだろ。夏だから仕方ない、というレベルの暑さじゃないから、今年はね。

 そんな毎日でも、人間は日々の暮らしを営まなくてはならない。仕事や勉強だけじゃなく、メシを食うこととか、人に会うこととか、掃除をしたりフロに入ったりとか、ゴキブリを追いかけたりとか、それが日常というもの。そういう風にして日々は知らずに過ぎて行く。

 でも、そうした暮らしの中に、音楽を聴くという楽しみを持つ人は今、どれくらいいるんだろう?最近は音楽を昔のようには聴かなくなった、とよく耳にするが、本当なのだろうか?だとしたらとても淋しく、悲しいこと。少なくとも、ぼくのようなガキの頃から音楽ファンのものにはね。

 このブログを読んでいる人たちは、そういうタイプではないと思っているけど、何を聴いたらいいものか、と迷ったり悩んだりすることは、みな経験があるはず。

 そこで、今日もまた1枚、ぼくのお気に入りになったVIVIDから出ているアルバムをご紹介だ。
 作品はTHE GOGGLESの『MUSIC FROM ORIGINAL SOUNDTRACK AND MORE』と、少しばかり長い。でも、中身の曲たちは、そんなに長くはないし、でも、とってもその味わいは長持ちする、という作品。

 リーダーは若い頃からエンジニアなどを経験してソングライターもやり、もちろん、バンドもやってきたというロッド・マクブライアンというニューヨーク生まれの男。なんと、64年には、あの白人ガールズ・ポップの最高峰と今でも高い評価のシャングリラスのヒット「リーダー・オブ・ザ・パック」のエンジニアも手がけたと言うではないか!ただ、残念なことにその彼は09年3月に亡くなっているんだけど。

 このゴーグルズは、ぼくもこの紙ジャケCDが出て初めて知ったバンド。ソフト・ロックのファンにはつとに有名なんだとか。このトシになっても知らないことは山ほどありますね。

 ジャケットのデザインにひと目惚れして、またこの作品が VIVID SOUNDが販売している一連の「BIG PINK」シリーズの1枚であったことも、ぼくの興味を一層そそるモノとなっています。

 このグループは、モンキーズのテレビ番組(「ザ・モンキーズ・ショウ」)に触発されてニューヨークでも西海岸に負けないモノが出来るんだ、というテレビ・プロデューサーで、この作品のプロデュースも手がけているエディー・ニューマークの気合いで作られたバンドで、そのために選ばれたのが、ロッドであり、彼が選んだメンバーによる、いわば「作られたバンド」であったわけだ。
 でも、モンキーズは一部を除いてほとんどの曲を「外注」していたのに対して、ゴーグルズは、逆にほぼ彼ら自身のオリジナル。それも、すべてと言っていいくらい、どれもが独自の輝きを放っていて、ポップスの魔法に存分に触れることが可能な素晴らしい曲たち。

 一曲聴くたびに、「あっ!これはアレに似てるな」とか「この曲はあのバンドの雰囲気がある」とか、そういう比較する楽しさもあるのだ。もちろん、それは比較する対象のモノを知っている人じゃないとムリですけど。でも、きっと、誰でもが、「あ?どこかで聴いたようなメロディー!!」と感じ取ることが出来るんじゃないかな。そして、その瞬間に音楽の、ポップスのマジックにかかることになる。まさにラヴィン・スプーンフルの「魔法を信じるかい」そのもの。

 バンドは結局うまく当たらずに番組もなくなり、この1枚限りで解散になるんだけど、それでも、こうして21世紀の今聴いてみても、古いとか、ダサいとか面白くない、とかいうことがまるでない、どころか、今の流行りの音楽にこれほどの魅力があるだろうか?とさえ感じてしまう作品。
 とにかく、オススメです。一度聴いてみて欲しい隠れた名盤、って感じデス。多分、これを聴いたら、周りの温度が3度くらい下がるかも。ww