22日、ちょうど雨の合間の寒い日の夜、今年最後の恒例イベント「CROSSROADS」とその後に行われる自分のラジオの相方である元ロンナイのDJ、Katchin’の主宰するイベント「OSCILLATORS」とがありました。
言うまでもなく、「CROSSROADS」はぼくが自分の音楽体験を基にして、過去から現在までのさまざまなジャンルの「ロック」テイストのあるモノについて熱く語る、という、まぁ、いうなればラジオの公開放送というか、ビデオ・ジョッキーというか、そんな感じの「ロックの語り場」的なイベントなんだけど、クラブという場所を借りて、大音量で音楽を見聞きしながら、みなさんにいろんなロックの存在、さらに言えば、ロックに関わるさまざまな音楽を知ってもらい、ロックが一体どういうものなのか?という大きなテーマについてみなさん自身でも考えてもらおうということをやっているんですよね。
会場が渋谷では老舗のクラブのOrgan-barで、そういうところでトークライブみたいなことをやるのも面白いかな、ということで始めて、もうかれこれ5年くらいになります。最初は音楽評論家で親しい間柄の、山名昇さんと二人でやっていましたが、途中からひとりでやることになり、もう、ぼくの個人的な趣味がモロに出た内容になっています。大半が70年代の中期以前の話やジャンルで言えばいわゆる「ロック・クラシック」というものばかりで、特に60年代のビート・バンドやガール・ポップなんかは、もう何度となく取り上げて、多分常連のお客さんには「耳タコ」ものだと思います。
しかし、そのへんの音楽が今のロックやポップに大きな影響を与えているのも事実で、オアシスやプライマルからランシドなどの近年のバンドやアーティストにその影がハッキリと伺えます。日本でも同じで、キャロルとかサザンとかからミスチルやボウディーズなどまで同じように、その影は見え隠れしています。
だから、その源を探ることには、少なからぬ意味があるとぼくは思いますし、また、過去を知らない今の音楽ファンや、その過去の影響に気づいてもいない人たちに、その影響の事実を知ってもらうということも出来るのです。そうすれば、自然な形でより広い視野で音楽に親しんでもらえるかと思っています。自分なりの音楽=ロックの普及活動、ロック興しになれば、という感覚でやってるんですね。
今回は今年最後ということで、デッカくテーマを「ロックの歴史」ということに設定して、エルヴィスからダム・ダム・ガールズまでを映像を見ながらあーだこーだ解説しつつ自分なりの思いを語らせてもらいました。しかも、タップリ2時間。中で一番自分でも、またお客さん的にも注目度が高かったのは、マディ・ウオータースの60年代のライブ映像でストーンズもカバーしている「Manish Boy」。この曲は彼が55年にシングルで発売したもので、作りそのものはお得意のシンプルで強力なリフ立ての「フーチークーチーマン」風な作品。実はこれにはエピソードがあり、同じ年の少し前にボ・ディドリーがリリースした「I ‘m A Man」へのアンサー・ソングということが評判になり、実際、この2曲はよく似ているんです。それじゃ、マディがボのヒットをパクったのか?と思いたくなるところですが、そうではなく、逆というか、マディにしたら、その「I’m A Man」こそ、かれの十八番のナンバー「I’m Your Hoochie Coochie Man」をパクったものじゃないのか、という思いが強く頭にあったらしく、なら、「本家」がキチンとした曲を作って聴かせてやろう、ということでこの『Manish Boy』が出来たというのです。二人が犬猿の仲ということは聞いたことがないので、このへんはちょっとしたマディの「シカゴの顔役」としてのプライドだったのかもしれません。
所詮、音楽は人間のやることです。だから、そういう思いも含めて、喜怒哀楽から妬み嫉みなどの感情や憧れや敬いなどの気持ちが込められることも普通です。だからこそ、ロックはごちゃ混ぜのスープみたいに美味しい(不味い?)のかもしれません。ロックは純粋種ではなく、多くの街の歌同様、バリバリの雑種なんです。だからこそ、しぶとく四方に根や鶴をのばして生き延びて来たんですよね。
来年も、こんな調子でマイペースで「ロック興し」を地道にやって行けたらいいかな、と思ってます。ただ、今は渋谷のクラブだけ限定になってるのを、解放してあちこちで「ロンナイ」みたいにやれたらイイな、と。会場は音がある程度大きく出せて、映写の設備があるのが理想です。ホームシアターみたいなのでも、CDRやビデオが映写出来ればいいんです。いい場所があれば是非ウチまでご一報下さい。Kensho1951@me.com
この日は自分のイベントの後に行われているKatchin’の主宰するイベントでDJすることになり、比較的早い時間帯にDJしました。かけた曲はもうシュミシュミ丸出しで、60〜70年代のロックばかり45分。デイブ・メイソンのバージョンの「All Along The Watch Tower」や、ツェッペリンの「ハートブレイカー」やフリーの「スティーラー」ジェフ・ベック・グループのセカンドからエルヴィスのカバーつーかリメイクの「All Shook Up」とかを轟音で鳴らしました。キモチE〜〜〜〜〜ってひとりで満足。まぁお客さんほとんどいない時間でしたからね。中でも友人たちに好評だったのがDeep Purpleの初期の作品の「Why Didn’t Rosemary 」。それを最後に聴いてもらいます。
今年はここにあんまり書き込めず、期待していた方に失望させていたらごめんなさい。来年はもう少し頻繁に記事を更新するつもりですので、見捨てないで、応援よろしくです。では、みなさん、良いお年を!