なんていうと、なんだかエラく固い話のように思えるかもしれませんが、そういう固い話はそもそも自分が一番苦手です(笑)。
つまり、このタイトルの意味するところは、音楽というものはたとえそれが普段聴いていなくても、流行っていなくても、心のどこかに必ず存在していて、なにかの拍子にフとわき上がって出てくるもの、なんだということです。
まぁ、トシいくと最近のことより昔のことの方がよく覚えている、なんて言われたりしますが、ある意味では確かにそうかも。何しろ最近のバンドのこと、メンバーの名前、ヒット曲とか聞いてもすぐ右から左へ素通りですからねぇ。
でも、それって、単に記憶力の問題というより、音楽力というか、最近の音楽にパワーが無くなった、魅力が薄れた、という見方も可能じゃないかと考えたりしてます。それって、単なる年寄りの勘違い、戯言ですかね?
実は、ちょっと前に自分が関わっているアート本で、60年代のロックのジャケット・デザインが素晴らしい、という話から、じゃあ、ということで、あの当時のものをいくつかランダムにチョイスしてジャケットもアートだ!みたいに紹介しよう、という話がまとまり、自分の持っているアルバムから数枚選んでちゃんとした写真家の方に撮影していただき、それに自分がコメントをするということになったんです。
で、いくつかのアルバムを取り出して、先方の気に入ったものを持って帰ってもらい写真撮影して、そこに自分のコメントを合わせる運びになりました。でも、選んだアルバムは全部自分のものでどれもが見覚えのある、ある意味ロックの「古典」とさえいえるような作品もありました。とはいえ、最近ほとんど聴いていないものもあり、レコードはジャケットごと貸与しちゃったので、音源は今、ここにない、という状況なんです。困りました。でも、締切もあるんで書かないといけません。
覚悟を決めて、1枚づつアルバムの写真を見ながらPCに向かいました。すると、不思議に頭のどこかにそのアルバムの音が聴こえて来たんです。まるで湧き水のように、曲順とかはちゃんとしてないかもしれないし、曲名とかもおぼつかないけど、サウンド、音はイメージがクリアになっているんですね。これには自分でもびっくり。
もちろん、全部が全部キチンと思い出されるわけではないんですが、まるっきり思い出せない、というようなのはありませんでした。
こういうことは、長く音楽を聴いている人たちには普通に起ることなのかもしれないですね。自分に限ったことではなく。それが、「音楽の記憶」というヤツで、それは死ぬまで心のどこかにいて、フとした時に思いがけず声を上げるのかも知れません。
今回登場したレコードのジャケットたち。