So-Cal Connection <Ver. 15> The Immediate Family Japan Tour 2019 Vol. 5
5月17日(金)
いよいよ今回のツアーの最終日です。
今日はサウンドチェックは無く、Waddyのみ2時からBARKSのインタビューがスケジュールされているだけでしたので、ゆっくりと寝ていようと思っていたのですが、9時頃にはWaddyから「品川駅の豚骨BASEにてラーメンを食べるから12:30にロビー集合!」と言うメッセージが届いてしまいました。そこで、ファーストセットの物販用のサイン用色紙が無くなってしまっていたので、大崎のダイソーに買いに行くのと、銀座の山野楽器へDanny用のアーニーボールの弦を買いに行く流れから、ラーメン大会に参加することにしました。この日は朝から猛暑でしたね! ラーメンの集合時間にホテルへ着くと、Russ, Waddy, Dannyの3人だけが参加でした。去年は、Lee, Waddy, Steve, Dannyと私だったのですが。
去年、偶然にみつけた品川駅構内に在るTOKYO豚骨BASEは、一風堂によるものなんですが、普通の一風堂とは少し異なるメニューなんです。基本的には同じスープベースなんですけど、少々違ったスタイルなんです。WaddyとDannyは去年と同じく、ごく普通の豚骨白で、Russと私は赤にしました。私としては食券機じゃなくて、後で支払うスタイルの普通の一風堂の方が好きなんですけど、この品川の店の雰囲気は嫌いじゃないです。我がファミリーメンバー達、特にDannyは、去年ここで食べたのが彼にとっての初のラーメンだった為か、常にこの店に行きたがっていました。とにかく大満足で昼食を終え、ホテルに戻り、30分開始時間を遅らせてもらったBARKSのインタビューが始まるのを確認して、私は一度自宅に戻りました。
Photo by Yuma Sakata
ロビーコールは17:00です。
ビルボードの楽屋に着くなり、何だか暑いのです。なんとエアコンが故障してしまったことが告げられ、何とか本番が始まるまでには修理が終わるはずとのことでしたが、この日の猛暑の所為もあり、開場前なのにも拘わらず凄い暑さだったのでした。
ステージ上ではギターのチューニングがどんどん狂ってしまっていて、既に3、4回目のチューニングがされていました。
ショーの始まる寸前まで、チューニングをしていましたが、LawyersのWaddyのイントロが始まった瞬間に、とんでもない音が!これはチューニングでは無く、アンプかシールドケーブルの問題だと思える音でした。そして、Dannyのギターの最初の音のオフだったこと!! 途中何度もチューニングをしながらなんとか曲を終えましたが、Waddyがマイクから離れた瞬間に後ろに向かって「Fck!」と凄い形相!直ぐにケーブルを交換してHoney Don’t Leave LAを始めたのですが、Waddyのギターのみ凄い音がしているのでした。不幸中の幸いと言えるかも知れませんが、音量も全然上がらなかったのです。そこは皆プロ中のプロですから、演奏中は何事も起こってないかの様に振る舞い曲を終えました。すると、Waddyは最初よりも更に大きな声で「Fck!」と叫びながら、Blackstar Artist 30アンプを蹴り倒したのでした!下手の袖に居た私の目の前での出来事です!アンプの後ろにWaddyの飲み物(氷無のダイエットコーク)のテーブルも倒れ、コークが思いっきりアンプに掛かってしまいました!Blackstarからスペアーのアンプが前日に届いていたので、「ちょうど良かった!」と思いながらも、これはかなりヤバいかも知れないと思いました。同時に、「誰かがアンプを蹴り倒すのなんて70年代以降見てないな!凄く久しぶりに見たな!」なんてニヤニヤしている自分も存在していました。私も含め、その時は誰もWaddyを助けには行かず唖然としていると、Waddyが自分でアンプを起こしてケーブルを繋ぎ直し、ジャーン!って試し弾くと、なんとアンプは正常の状態に戻っていたのでした! 何が起こったのかは分かりませんが、とにかく問題は解決されました。とにかく、物凄い熱気の中、その後のショーはとても良いものとなりましたが、アンコール前に彼等を袖で迎えた時には、Waddyが「Where the fck were you? You were supposed to be helping me right there right next me!」と叫びながら、私に体当たりするかの様に突進して来たので、袖のドアの後ろに在る10段ほどの階段を後ろ向きに落とされてしまうかと思いましたが、実際には接触することなく、直ぐにアンコール!ってことでステージへと戻って行きました。で、アンコールが終わって袖に戻って来た時には、ファーストセットの全てがまるでジョークだったかの様に、皆笑いながら話せるムードにまで回復していました。色々と学ぶことが多い夜のスタートでした。
さて、このセットの間の90分間は大変でした。先ず昨日のテックの問題も有りましたので、大阪のサンフォニックス社の本部とも打ち合わせをしたり、ビルボード東京の方でも、とにかく両袖に人を配置しましょうと言うことになり、アーティストリレーションの門倉さんと私とで、両袖からショーを眺めることとなってしまいました。最初は、弦交換の可能性も有ることから、私がダニーに近い上手で、彼女が下手が良いと言うことになったのですが、開演直前に「すみません、位置を交換してもらえませんか?」と彼女からお願いされたので、「Waddyが怖いの?大丈夫だよ。Waddyは良いやつだよ!」と言うと「やっぱり交換して下さい!」でしたので、私が、愛するWaddyの直ぐそばから見守ることとなりました。
セットリストは、ファーストもセカンドも前日と同じセットリストに落ち着きました。
The Immediate Family Set List for BBLT 05/17/19 (1st and 2nd)
1. Lawyers, Guns and Money (Waddy)
2. Honey Don’t Leave LA (Danny)
3. 3:45 Coming Through (Steve)
4. Hi Maintenance Girlfriend (Waddy)
5. Machine Gun Kelly (Danny)
6. Somebody’s Baby (Steve)
7. Fair Warning (Waddy)
8. Dirty Laundry (Danny)
9. New York Minute (Steve)
10. Jonny Strikes Back The Band (Waddy)
11. Not Made (Danny)
12. Time To Come Clean (Steve & Waddy)
13. Werewolves Of London (Waddy)
Encore
1. All She Wants To Do Is Dance (Danny)
Photo by Yuma Sakata
両袖にサポートが居ることがジンクス(良い)となったのでしょうか?セカンドショーの直前にエアコンも修理され、会場が涼しくもなって来て、ショーも最高の出来となりました。私が何もしなかったかと言うと、そんなことはなく、3,4曲目が始まると同時にLeeから呼ばれたので、Leeの処へ行くと、Russが何かを楽屋に忘れて来たので取って来て欲しいとのことの様だったのですが、よく聞き取れず、一度袖に戻ってからWaddyを呼んでLeeに尋ねてもらいました。すると「Russ forgot his cellphone in back stage!」だったのでした。Russの携帯には夫々の曲のテンポのリファレンスデータが入っていますので、それは大変!直ぐに楽屋へ走り、彼の携帯をみつけてステージに戻りRussに手渡しました。ま、そんな訳で、私が袖に控えていたことは無駄になりませんでした。(笑)
楽屋へ戻るエレベーターの中でも、皆「この形でツアーを終えることが出来て良かった!」と最高のムードでした。WaddyとDannyは何だか涙ぐんでいて、「Hey Kaz, I am sorry about all that happened tonight but they weren’t your fault, and you are the best!」と強くハグされました。するとSteve, Russ, Leeも夫々に強くハグしてくれて、私も涙を堪えるのが大変でした。明日の空港が思いやられる!!
このファイナルのショーの後も、皆さんのお蔭で長い長いサイン会の列が出来ました。本当に有難うございました。
そうそう、私も2枚のアルバムにサインを求められてしまいました!1枚は業界の方でHoney Don’t Leave LAのCDで、ビルボードで買って下さったものでしたが、サイン会の参加券は得られていなかったのですが、まあ、お世話になっている方達だったので、私がブックレットのみ取り出して、さっと楽屋へ行き、サイン会の前に5人のサインを貰って戻ると、「ごめんなさい。説明不足でした。坂本さんのサインが欲しかっただけなんですよ!」と!(笑)もう1人の方はEl Rayo-XのCDでした。嬉しいことですね!
さて、サイン会もステージのラップアップも終わり、1時近くにビルボードを後にしました。ホテルに着くと、去年は打上げをしなかったので、またビルボードバスで家まで送ってもらおうと思っていましたが、今年は私もホテル内へと引きづりこまれてしまい、「さあ呑もう!お腹も空いたよね!」とRussとWaddy。もう何処もやってないんじゃないかなーと思いながら「ロビーバーあさま」へ行くと、ちょうどラストオーダーが終わったところで、1時半でクローズとのこと。でも、高輪プリンスへ行くと4時までやっているバーが有ることを教えてもらったので、SteveとDannyが荷物を部屋に置いて戻って来るのを待って、中庭を抜けて高輪プリンスへと移動しました。そこはシガーバーで、入るなりシガーの臭いで、皆一瞬どうしようか?と言う顔になりましたが、もう他の客は1組のみで、出て行くところのようでしたので、そのままステイすることになりました。
とにかく、お腹が空いていたので、メニューの中から、ピッツァを3枚オーダーして、後はナッツとチーズを即出してもらい、飲み物を頼みました。Steveが暖かい紅茶とサイドにJamesonのショットをオーダーした以外は、Danny, Waddy, Russは何時も通りで、私もジントニックにしました。
さあ、ここからのDannyを中心とした話が凄かったです。それから、WaddyのEverly Brothers時代の話は、ここでは書けない内容のものばかりでした。DonとPhilの天使の様なイメージとは全く正反対のエピソードばかりでした。特にWaddyが突然解雇された経緯はちょっと凄かったです。その数年後に再会した時までの長い長いストーリーで、最後にもの凄いパンチラインが待っていて、皆びっくり仰天でした。DannyとRussによるJamesにまつわるエピソードも、その大半はここでは書けません!これも凄過ぎでした。
私の場合は、MFQとKingston Trioから始まって、AmericaやBeach Boys等、内部の人間としてのお付き合いをしてしまっていますので、普通のファンの人とは異なり、相当彼等のイメージはぶち壊されています。まあ、それが本当のお付き合いをしていることになるんでしょうけどね。それにしても、このバーでの話は凄まじかったですよ!
Jamesがとにかく凄い酒好きで、ショーが終わった瞬間からホテルへのバスの中でもボトルを手放すことなく呑み続けていて、ホテルに着いて皆降りてしまっても1人で呑み続け、翌朝の出発の時にバスに行くと、前の晩からそのまま呑み続けているってことが多々。でも、いざステージに立つと、何事も無かったかのようにシャープなんだそうです。そのJamesも、悲しいことですが、もう歌は唄えないようです。加齢による声帯の衰えらしく、ビブラートが出ちゃうんだそうです。マッカートニーは、それを大分克服して今も歌っていますが、ある音程になると駄目ですよね。Jamesの場合は、その酷い症状らしいです。
Russが、この時ではなく、大阪で2人でナイトキャップをやっていた時に話してくれたストーリーを書くのを忘れていました。ちょっとハートウォーミングな話なので、書いておきます。Russの今回リリースした「Chateau Beach」と言うアルバムは、彼の初のソロアルバムで、アメリカでリリースした2008年の時からずーっとそうだったのだそうですが、これを聞いた人、特にミュージシャン仲間は、誰も一言も無かったのだそうです。Russも冒険をしたつもりで、本当の自分のライフスタイルを表現出来ると思うサウンドを作ったのであって、それを他人に喜んでもらおうとは全く考えていなかったのだそうです。でも、「最悪だ!」でもなければ、「何これ?こんなのRussじゃない!」でもなし。とにかく誰も何も言ってくれなかったのだそうです。そんな中、突然私からの電話で、これを日本でリリースしたいと言われ「へー不思議なこともあるもんだ!」と思いながらリリースすることにしたのだそうです。ところが、Carole Kingだけからは、長い手書きの手紙が届いたんだそうです。そして、そこには「Russのバージョンの『So Far Away』の方が、自分自身のバージョンよりもずーっと自分が表現したかった悲しさが込められていて、これこそが、この曲のあるべき姿だと思う」と書かれていたのだそうです。この話を聞かされた時には、思わず涙ぐんでしまいました。感激ですよね!Russも「もうこれでこの作品を手掛けた甲斐が有った。彼女の言葉は、どんな賞やお金よりも素晴らしいことだ」と思ったそうです。
DannyもRussもLeeも口をそろえてCaroleほど頭の良い女性は居ないと言っています。
そして、彼女ほどケアリングな人も居ないそうです。とまあ、こんな良い話を聞くこともあります。
5月18日 遂にお別れの日がやってきてしまいました。
ロビーコールは12:00。私がロビーに着くと、いつも通りにRussとLeeと2,3人のサインを求めるファンの姿が在りました。珍しくDannyも直ぐに降りて来たので、ビルボードのバスに荷物を積み込み始めるとSteveも登場。Waddyが最後でしたが、しっかりと時間を守ってくれました。私は最後にもう一度Waddyを電話で叱咤したかったのですけど・・・残念。
成って、何時も遠いと感じているのに、この日はあっと言う間に着いてしまいました。
チェックインは、昨年と違いエクセスラゲージは無いはずなのでスムースに行くはずだったのに、何故か私の言うことを理解出来ないANAのカウンターエージェントのお蔭で、5人目となったWaddyが、ギター2本をチェックインしようとした時に、エクセスの計算を始めちゃったのです。最初から2人の隣り合わせたカウンターを担当しているエージェントに「我々は5人のグループです!」と伝えたのにですよ! 信じられないです!「彼の2人前にチェックインしたMr. Kunkelはスーツケース1個のみをチェックインしただけですよね?5人がチェックインしたラゲージの合計は10個ですよね?それがどうして最後のMr. Wachtelのみエクセスがチャージされちゃうのですか?10を5で割ったら2でしょう!!」と再度説明しなくてはなりませんでした。これが20年くらい前の私だったら、思いっきり怒鳴りつけているところですよ!(笑)もう怒鳴るなんてことは無いですね!・・・でも、中国語と韓国語を喋れたら、毎日怒鳴っていること間違いなしですけど!
フライトは16:05でしたので、未だ2時間半も有りました。ANAのカウンターの前で最後の記念撮影をしたら、誰からともなく「これ以上Kazと一緒に居たら号泣しちゃうので、もう中へ入ってラウンジでフライトを待つことにするよ!」と言う言葉が発せられ、1人づつ長いハグの後、セキュリティーゲートへと5人は去って行きました。
止めておけば良かったのですが、エスカレーターで入管へと降りて行くシーンまで見送ってしまい、うるうるしてしまいました。帰りのNEXの寂しかったこと!
お客様の入りに関しては、昨年を下回ってしまいましたが、今回の演奏は1次元上のものでした。完全に1つのバンドであり、正にImmediate Familyでした。
ショーにいらして下さった皆様、そして、このブログをここまで読んで下さった皆様、本当に有難うございました。心からお礼申し上げます。
このブログはこれからも続けますので、引き続き宜しくお願い致します。