私の名前に（仮題） AU NOM DE TOUS LES MIENS

最近、アルジェリア、モロッコ、チュニジアというマグレブ諸国の音楽を紹介するＣＤや書籍がたくさん紹介され、ワールド・ミュージック・ファンだけでなく、多くの音楽ファンの注目を浴びています。ルネース・マトゥーブは、アルジェリアの先住民族であるベルベル系のカビール人の歌手です。カビール人は、フランス植民地支配時代から、1990年代に至るまで差別を受け続けてきたとされていますが、マトゥーブは、音楽活動初期から政府やイスラム過激派に対し一貫して批判し続け、その音楽の成熟と共に民衆に絶対的な支持を受けてきました。1998年にはついに何者かによって射殺されてしまいました。そんなところから、ボブ・ディラン、ヴィソツキー、ボリス・ヴィアンなどを引き合いに語られることも多いアーティストです。本作は、やはり彼の晩年の録音と思われる音源の復刻ＣＤです。本アルバムは、MM誌2008年11月号の輸入盤紹介コーナーで原田尊志氏が取り上げ、また同誌2008年個人ベスト・アルバムにて、中村とうよう氏、原田尊志氏がランクインさせています。