オホス・ネグロス 黒い瞳 OJOS NEGROS

シルビア・イリオンドはアルゼンチン国立社会科学大学を卒業後、社会と音楽を一つのものとして表現することに使命を感じ、72年よりプロのシンガー・ソング・ライターとして活躍を開始しました。これまでに数多くのアーティストと共演しており、先に来日したリリアナ・エレーロのように、アルゼンチンの若い「音響派」周辺アーティスト達にリスペクトされ、共振するフォルクローレ歌手の一人です。本作では、「アルゼンチン音響派」影の主役であり、ROVOの勝井氏、山本氏も賛辞を惜しまない、モノ・フォンタナやサンティア?ゴ・バスケスと共に数多くのライブをこなす、マリンバ／バイブ奏者、マルコス・カベサスやピアソラ絶頂期の最強5重奏団のヴァイオリニスト、パブロ・シーグレスのアルバムにも参加していた、オラシオ・ウルタードやキケ・キネシら豪華ゲストが勢揃いです。アルゼンチンの美しいパンパ（平原）を想起させるようなシルビア・イリオンドの透き通るような声と静寂の世界、マリンバの原始的でミニマルな響き、子供コーラスのサンプリングをバックに歌う曲など、「音響派」後のサイケデリック感とポップ感を兼ね備えたネオ・フォルクローレと言える新たな響きが聞けます。揺らすと砂が仕込まれているのか、音のする特殊ジャケットの作りからも、プロダクトとしての質の高さと気合いが見えます。注目されるアルゼンチン・ネオ・フォルクローレの決定盤の一枚です。