マント・ドス・ソニョス manto dos sonhos

ヘナータ・ホーザは、サンパウロ出身ながら、メストレ・アンブロージオの勧めでペルナンブーコに拠点を移し活躍する才女です。子供の時に、コーコやマラカトゥといったブラジルの土着のリズムに合わせ、歌うことを始めました。彼女はヴォーカルとハベッカ（フィドル/小型バイオリン）を弾き、地元出身ではないため研究熱心で「フォルクローレの研究者」とも呼ばれているらしいです。本アルバムは、師匠であるノルデスチの重鎮、セウ・ルイス・パイションやシバが参加した彼女の最新作。ノルデスチのヴァラエティーに富むリズムをハベッカ、ガイタ（ハーモニカ）、クラリネット、各種パーカッションやギター系楽器によるアコースティックな響きを活かしたアレンジで聞かせます。自作も含め全曲伝統に根ざしたオーソドックスな曲調の作品ばかりですが、現代的なSSWらしい歌唱やコーラス、そして無駄を省いた楽器アンサンブルが、アルバム全体をとても現代的な感覚を持った作品に昇華させています。まさに、ブラジル北東部のネオ・フォルクローレと言うに相応しいアーティストです。ブラジル音楽ファンばかりでなく、アルゼンチンのリリアナ・エレーロ、シルビア・イリオンド、マレーナ・ムヤラなどの好きな方にも強力にお薦めします。ヘナータ・ホーザは久保田麻琴氏プロデュースの人気盤『ノルデスチ・アトミコ』にの収録されています。
ジャケットのアートワークに写る、ブラジル東北部の自然と一体化する彼女の世界観。クンビアなどの南米のルーツミュージックが再発見されている今、彼女の大地の歌も今の時代に聞かれるべきでしょう。南米からのオーガニック・グルーヴ/歌をお楽しみください。