ホールド・オン（トゥ・ユア・ドリームス） HOLD ON (TO YOUR DREAMS)

■ソウル・ファンの誰しもが好きなコーラス・グループに挙げ、コーラス・グループの理想型をそこに見出すデトロイトのザ・ドラマティックス。グループ結成時オリジナル・メンバーのラリー・リードの代わりに６８年に加入したのがウィ・ジーことウィリアム・ハワード。ドラマティックスのメンバーとして７２年、「IN THE RAIN」、「THANK YOU FOR YOUR LOVE」、「WHATCHA SEE IS WHATCHA GET」収録のソウル史に燦然と輝くデビュー・アルバム『WHATCHA SEE IS WHATCHA GET』をリリース。しかし翌７３年、グループをエルバート・ウィルキンスと共に脱退（後釜はご存知L.J.レイノルズ）、ファンの間で通称「裏ドラ」（？）と呼ばれる”裏”ドラマティックスを結成。しかしクレームがつき、ドラマティック・エクスペリエンス名義でシングルを１枚リリース。その後にリリースされたのが、ウィ・ジー初にして唯一のソロ・アルバムの本作品。８６年にはドラマティックスのリユニオン・アルバムに参加するも２０００年、４９歳の早すぎる死を迎えてしまった。\


■ウィ・ジーのボーカル・スタイルには、同じデトロイトのテンプテーションズのデヴィッド・ラフィンの影響が色濃く見られる。それも、絶頂期のデヴィッドの。ウィ・ジーのバラード・ナンバーが素晴らしいのは、あらためて述べるまでもなく、ドラマティックス時代に証明済み。冒頭を飾るのはシャイ・ライツ、リヴィング・プルーフにもカヴァーされた表題曲「HOLD ON (TO YOUR DREAMS)」。語りを途中はさみ１０分以上にも及ぶ大作。やさしさの中にも力強さを秘め、子供達に「夢を持ち続けなさい」とメッセージを送ったヒット・ナンバー。語りから入る「(JUST WHEN) MY WORLD SEEMED BLUE」も素晴らしい。極めつけはドラマティックス時代のナンバーを彷彿とさせるバラード「YOU'VE BEEN A PART OF ME」。力を込めて歌うわずかなフレーズだけでドラマティックス・ファンなら悶絶必至。バラードだけでなく、デトロイト産ノーザン・ダンサー「AIN'T NOTHIN' MISSIN' (BUT THE MUSIC)」、「REMEMBER THE LOVE」も快調に飛ばしていく。