メジャー・アルカナ MAJOR ARCANA

■自身シンガー・ソングライターとしてはもちろん、プロデューサー、レーベル・オーナーとして、70年代ミルウォーキー・シーンの中心で活躍したジム・スペンサー。80年代半ばに亡くなったが、残された２枚のソロ・アルバム、『ランドスケープ』（73年）と『セカンド・ルック』（74年）は、アメリカのマイナー・フォーク/シンガー・ソングライター系アルバムを愛好するファンの間では隠れた人気盤だ。本作はグループ名義ながら、実質的にスペンサーのサード・アルバムとも捉えられている作品。前2作では、カントリー・フォーク調のナンバーと、多彩なキーボード・プレイをフィーチャーしたプログレ風味のフォーク・ロック作品がアルバムを分け合っていたが、ここでは、スペンサーのヴォーカルを際立たせたフォーク・ブルース調の楽曲を軸に、そこにサイケできらびやかなキーボード・プレイが絡むというユニークなスタイルに収斂している。60年代末期のアシッド・フォーク・バンド、パールズ・ビフォー・スワインを継承するようなユニークな音楽性が聴きもの。有名なフォーク・ソング「グリーンスリーヴス」1曲をのぞきスペンサーのオリジナル。