ブルー・ペパーズEP
- アーティスト
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ブルー・ペパーズBLUE PEPPERS
- レーベル
- ヴィヴィド・サウンド
- 商品区分
- CD
- 発売日
- 2015/10/07
- 品番
- VSCD3144
- 税込価格
- 1,650円
- シリーズ
- LightMellow's Choice
- ジャンル
- サブジャンル
- CITY POP / AOR / LightMellow
- バーコード
楽曲リスト
DISC1
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1. 6月の夢 feat. 佐々木詩織(Vo.)
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2. 面影
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3. 汗は甘い口づけ
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4. Eventide (interlude)
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5. 星空と孤独のマスカレード
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6. Calling feat. 佐柳太一(Vo.)
鳩に豆鉄砲 ?突然のことにビックリして、キョトンとしている様子の喩え?。自分が初めてブルー・ペパーズを聴いた時が、まさにコレだった。「エッ!?」とひと言発したきり、二の句が告げない。気を取り直して、突然届いた音源付きのメールをチェックすると、大学生の2人組ユニットで、AORやジャズ、フュージョン要素の強いシティ・ポップスを演っている、とある。だから音のベクトルはおおよそ予測できた。でもその完成度の高さは桁外れ。とてもとても現役大学生のツー・メン・ユニットとは思えず、120%意表を突かれた。そこですぐさまメンバーにコンタクトを取り、発注寸前だった自主制作盤のプレスを止めた。これはシッカリした流通に乗せ、広く紹介しないと…。そう直感したのである。実際にリード曲「6月の夢」とミニ・アルバムのダイジェストがYouTubeにアップされた途端、メジャーを含む複数レーベルからオファーが入ったという。それだけクオリティが高いのだ。
年齢に不釣り合いなほどのAORフリークで、何事にも研究熱心な福田直木。ハジレコが どジャズだった、という早熟さで、やがてプロについてキーボードや作編曲を学ぶミュージシャン指向の井上薫。この2人のコンビネーションが絶妙で、いずれはアーティストとして創作を続けながら、プロデュース・ユニットとしても活動したいと将来の夢を語る。自分たちが歌えるのに、リード曲では甘酸っぱいミラクル・ヴォイスの女性シンガーを起用するあたりのクレヴァーさは、まるで若い冨田恵一のようだ。Ceroの人気が急上昇したり、北園みなみやシンリズムのデビューが大きな話題になるなど、いま、いわゆる“シティ・ポップス”が脚光を浴びている。正直、2、3年前には考えられぬほどの盛り上がりだが、いざ蓋を開けると、イメージよりもヒップホップやEDMのインフルエンスが強い者が少なくない。故に“シティ・ポップス”の看板を嫌ったり、音楽性をどんどん変化させるアーティストも。でもそれが悪いのではなく、“シティ・ポップス=都市のサウンドトラック”程度の認識で充分OKなのだ。しかしブルー・ペパーズは、もう完熟のジュクジュク。これがデビューの学生ユニットなのに、閉塞感に陥りやすい宅録派、ガレージ・サウンドしか作れない中堅バンドのジレンマを早くも克服した。上の世代がオトナになることを拒んできたのに対し、彼らはオトナたちを羨み、オトナに学ぼうとしている。ミュージシャンとして、カリスマ・リスナーとしてのインプットがワイド・レンジで、今に至るシティ・ポップス・シーンの牽引役キリンジにも負けぬしたたかさがあるのだ。それでいて、同世代に訴求す
るポップネスを併せ持つのが特徴。もし「6月の夢」を聴いて心が疼かなければ、ポップス・ファンとしての感性を疑うしかない。いずれにせよ、自主制作のつもりで完成させたEPにして、この緻密さ、このレヴェル。早くも次作が楽しみな自分がいる。
2015年8月 金澤 寿和 / Tosikazu Kanazawa (www.lightmellow.com)