ライヴ・トゥ・エア ?ライヴ80'S LIVE TO AIR

＜The Store for Music ?“Live to Air”＞ここ数年、ビッグ・アーティストからカルト・アーティストまで様々なジャンルのライヴ音源の輸入盤CDを多く見かける。それらは本来の所属レーベルの枠を超えたものでこれまでプライヴェート盤かYouTube等のネット上といった限定されたメディアを通してしか触れることが出来なかったＴＶ出演時のスペシャル・パフォーマンスやラジオ放送の為に収録された貴重なものである。これまでハード・ロックやプログレッシヴ・ロックを中心にリリースしていたイギリスのインディペンデント・レーベルのThe Store for Musicはそういった貴重かつ膨大なアイテムのリリース権を取得し、“Live　To Air”シリーズ名の下で順次リリースしていくことになった。そのラインナップは極めて幅広く、かつ音源内容もかなり素晴らしくマニアは勿論、一般のファンにも強くアピールするものである。

Live to Airのシリーズとしてリリースされるモトリー・クルーの音源として選ばれたのはラジオ放送用素材のライヴ音源である。アルバム・スリーヴにはテレビ放送された幾つかの音源で構成されたライヴ・コンピレーションとクレジットされているがこれは１９８２年に彼らの出世作である２ｎｄアルバム『シャウト・アット・ザ・デヴィル』リリース前に行ったツアーの模様をプロモーションの一環としてFMラジオ局で放送した音源のCD化である。パフォーマンスは勿論ヴィンス・ニール、トミー・リー、ニッキー・シックス、ミック・マーズのオリジナル・メンバー４人によるもので、サウンド・ボード音源ながら音のバランスはかなり雑ではあるがバンドの初期のライヴ音源としては貴重なものである。特筆すべくは約４０分・９曲のパフォーマンスながら半分がアルバム『シャウト・アット・ザ・デヴィル』リリース前に披露しており、当然レコーディング前なのでアルバム収録作品とはアレンジも多
少異なり、彼らのライヴ特性ならではのワイルドかつタイトなパフォーマンスを味わえる。そして当時のL.A.メタル・シーンの中でも異彩を放ち、シーンのトップを走るバンドとしての威厳がこの時点で感じられる。この４人による絶頂期である８０年代のライヴ・アルバムは未だにリリースされていないだけに彼らのファンにとっては当時のバンドの勢いを感じることのできるアルバムである。