ロンテオ　（生産限定紙ジャケット仕様） RONTHEO

■＜ロンテオ＞は、ロニー・デ・トマソ（ギター、リード・ヴォーカル、シンセサイザー）とテオ・ブッシュ（ヴァイオリン、ギター、パーカッション、ヴォーカル、オルガン）からなるアコースティック・デュオ。出身はカナダながら、結成は74年のドイツ。ザールラントのフォーク・クラブで出会ったのがきっかけだった。以降ふたりは、ヨーロッパ、アメリカそしてカナダといった世界中をツアーしてまわった。本盤は、ふたりにとっておそらく最初のレコーディングとなる、ロンテオ名義の唯一のアルバム（76年リリース）。レーベルの＜ブライトコプフ・ソング＞は、ドイツのヴィースバーデンに本拠を置く老舗楽譜出版社、ブライトコフ・ウント・ヘルテル社（モーツァルト全集を初めて出版したのも同社）の傘下に作られたフォーク専門レーベル。録音は1年間をかけて同社スタジオの24トラック設備をフルに使っておこなわれた。リリース（1000枚）直後にレーベルが閉鎖。その希少価値と唯一無二のオリジナリティによって、以降本盤はコレクターズ・アイテムとしての道を歩むことになる。ユーロ・ロック的様式美を具現するような幻想的なヴォーカル・アレンジ、ヴァイオリンとエレクトリック・ギターによるスリリングなアンサンブル、教会音楽の荘厳さを表現するようなキーボードが印象的なナンバーなど、デュオ（友人のエレクトリック・ギタリストがゲスト参加）とは思えない広がりのあるサウンドが聴きどころ。静から動、動から静へと目まぐるしく展開しながら、全体としてひとつの壮大な組曲を聴いているような感覚は、フォークの文脈ではなく、ユーロ・ロックやプログレッシヴ・ロックとの親近性でこそ語られるべき作品かもしれない。