チャイルドグローヴ（生産限定紙ジャケット仕様） CHILDGROVE

クリスチャン・ミュージック系12弦ギターの名手スニ・マクグレイスが、ADELPHI（60年代後半にメリーランド州シルヴァー・スプリングに設立されたルーツ・ミュージック専門レーベル）に残した３枚、『コーンフラワー・スイート』（69年）、『ザ・コール・オブ・ザ・モーニング・ドーヴ』（71年）、『チャイルドグローヴ』（72年）の最後を飾る1枚。もう一人のギタリスト、ジャック・デリンジャーの貢献度の高さも特徴（ジャケット左がジャック、右がスニ）で、共作名義でも違和感のない仕上がりになっている。冒頭の「ザ・スター・オブ・カントリー・ダウン」は、ヴァン・モリソンのチーフタンズとの共演盤『アイリッシュ・ハートビート』（88年）でも知られるブリティッシュ・トラッド。つづく「ラヴ・アバイズ」はバート・ヤンシュの『ローズマリー・レイン』（70年）やジョン・レンボーンの『レディ・アンド・ユニコーン』（70年）につうじる気品に満ちたバロック・フォーク・チューン。オリジナル・アナログ盤でＢ面すべてを使った22分に及ぶ「ライオン・オブ・ユダ」がアルバムのハイライト。ここではデリンジャーがリードをとり、マクグレイスがセカンド・ギターにまわる主役交代も起きている。中盤と後半の2カ所でエレン・マシューズなる女性ヴォーカルもフォーチャーされ、このあたりはペンタングルとまではいかないまでも、英国フォークとのつながりを感じさせる部分。アデルファイでの3枚の後、レコーディング・アーティストとして長い沈黙に入ったが、05年リリースのギター・アンソロジー『イマジネイショナル・アンセム』収録の「トレイン・Ｚ」（04年6月録音）でカムバック。同レーベルからは７インチ・シングル「セヴン・スターズ/ファンタジア」もリリースされ、さらに新作の予定もアナウンスされている。