ブラック・アルバム THE BLACK ALBUM(1977)

K.フリンポン　~ハイライフ・シーンにおける伝説のシンガー~当地ガーナの伝統音楽ハイライフのシンガーとしてシーンを牽引していた本名アルハジ・K.フリンポン。その才能は、自身のステータスを盤石なものにした2枚のアルバム『通称：青盤』（1976年作）『通称：黒盤』（1977年作）からも容易にうかがうことができる。サイフ・ケイタを彷彿させるハイトーンを駆使したヴォーカルに絡み付くルーディなビート＆珠玉のメロディ。そこには自国が誇るハイライフという伝統を超越した奇跡のヴァイブレーションが渦巻く。ここでフリンポンをサポートするバンドは、“クバーノ・フィエスタズ”。すでにシークレット・スタッシュからリイシューされた“VIS-A-VIS”（アルバム『Obi Agye Me Dofo』）の異名同体で、ここには地元の辣腕が集結、みごとなバッキングを披露している。なお、残念ながらフリンポンは2005年に逝去している。

【奇跡のアフロ・グルーヴよふたたび！】
デビュー・アルバムの衝撃をさらに越える奇跡のガーナ・サウンズ。オープニング・トラック「Hwe Hwe Mu Na Yi Wo Mpena」は、デビュー作のハイライト「Kyenkyen Bi Adi M’Awu」と双璧を成すルーディなファンク／ソウル・チューン。つづく「Asaase Yi So」でのトリッキーなキーボード使いは、まるでガーナのアンダーグラウンド・シーンを垣間見せるような奇怪さ。ハイライフを下地に、ジェイムス・ブラウンやフェラ・クティからの影響を暗に示す「Awisia」では、これぞガーナ・ビートと呼ぶにふさわしいオリジナリティへと昇華される。エンディング「Adam Nana」では、フリンポンとクバーノ・フィエスタの総力をあげての長尺グルーヴが炸裂。途中、ソリッドなビートを取り込みアジテートする展開がたまらない。

■SECRET STASH――シークレット・スタッシュ
2009年にUSミネアポリスで産声をあげた“世界のレアグルーヴ”を紹介するレーベル。基本コンセプトに4つの部門＜アフリカ＞＜南米＞＜アメリカ＞＜アジア＋ヨーロッパ＞を設け、世界中のヘヴィ級レアグルーヴをディグ。創設3年目にして急成長を遂げた。その飽くなき探究心と誠実な音楽愛は、世界中のコアなリスナーを虜にしている。今後もSECRET STASHから目が離せない！