パトリース PATRICE

■「Forget Me Nots」、「Remind Me」、「Hang It Up」、「Groove Thang」といったナンバーを、多くのヒップホップ/R&Bのアーティストがネタに用いているのはあまりにも有名。オマケに「Number One」はガラージ・クラシックスであり、そしてアシッド・ジャズ期から人気の高い「Haw Right Now」や「Music Of The Earth」がクラブ・ジャズ・ラヴァーたちの心を捉え続けているのを考慮すれば、本作がいかにあらゆるブラック・ミュージック・ファンにアピールするアイテムたりうるか、が容易に想像できるだろう！加えてジャザノヴァが昨年「Let The Heart Be Free」をカヴァーし話題となったことも、パトリース・ラッシェン人気に拍車をかける要因のひとつとして挙げられる。

■1978年に発表された本盤はキーボーディスト/シンガーソングライター/アレンジャー、パトリース・ラッシェンの通算4枚目、そしてエレクトラ移籍後のデビュー作に当たる。このアルバムは、鍵盤奏者としてプレスティッジ時代に推し進めたジャズ・ファンク/フュージョン路線と、後に披露する、ヴォーカリストとしての側面をより前面に押し出したブラック・コンテンポラリー/ディスコ・サウンドの橋渡し的な役割を担う珠玉のマスターピース！

■西ロンドンの俊英クリエイター、ドムもカヴァーしたダンス・クラシックス「Music Of The Earth」、ブリージンなアコースティック・ギターとストリングスが可憐な歌声を鮮やかに彩る「Wishful Thinking」、コーラス、スキャット、ホーン・セクション、フェンダー・ローズ、カッティング・ギターが完璧なまでにシンクロ、ユニゾンし、この上なく美しいメロディーを築き上げるブラジリアン・ブギー「Let's Sing A Song Of Love」、デフ・ジェフがサンプリング・ソースとして用いたフュージョン・ソ\ウル「Hang It Up」、ミニー・リパートンの諸作にも通じるメロウ＆オーガニックな「Cha-Cha」、「Didn't You Know？」など、時代を経ても風化することのない真の名曲があふれんばかりに、ここに凝縮されている！

DIVERSE ANGLES：
ジャズ、ファンク、ソウル、ラテン、ブラジリアン、ソ\\フト・ロックなど、古今東西の様々な音源からクラブ・サークルで長年親しまれてきた名盤、定番を中心にピックアップし、紹介していくシリーズ。フリー・ソウルやオルガン・バー・クラシックス、クラブ・ジャズ・アンセムも含めた多くのマスターピースをいろいろな角度から捉えると、その魅力もまた新たに発見できるというもの。フロアを沸かせ続けた名曲や、意外に見落とされていたキラー・チューンを収録する「ニュー・スタンダード・アイテム」をこの機会にぜひ。