クール・サックス、ウォーム・ハート COOL SAX, WARM HEART
- アーティスト
-
エディ・ハリスEDDIE HARRIS
- レーベル
- ヴィヴィド・サウンド
- 商品区分
- CD
- 発売日
- 2005/07/06
- 品番
- VSCD9321
- 税込価格
- 2,640円
- シリーズ
- DIVERSE ANGLES
- ジャンル
- バーコード
■本盤は、ジャズ界を代表するテナー・サックス奏者エディ・ハリスがレーベル、コロンビアに吹き込んだ\64年作『Cool Sax, Warm Heart』と'65年作『Cool Sax From Hollywood To Broadway』をカップリングしたもの。特に前者は、クラブ・ジャズ界では知るひとぞ知る裏マスターピースとしてその名をとどろかせている。随所に配されているコーラス。ゴスペリッシュで黒人霊歌然としたこの合唱パートが、アルバム全体に一種の神秘的ムードを投じており、ココではドナルド・バードの名作『A New Perspective』の幻影とも取れる透徹した世界観の提示がなされている。
■ジャイルス・ピーターソンが自身の人気ラジオ・プログラム『Worldwide』で幾度となくプレイしているスピリチュアル・ジャズ・クラシックス「Brother Ed」は、混声コーラスとブルースの素養に基づいて発せられるハリスのブロウによって醸し出される荘厳な雰囲気を前に、聴く者は黒人教会のミサに参列しているかの様な感覚に襲われるだろう。そのほか、ヘヴィーなベースラインと切れ味鋭いハモンド・オルガン、さらにエモーションをストイックに発するテナーで構成される洗練度の高いジャズ・ファンク・ナンバー「Stum Stang」、アフロ・キューバン・リズムを従えて、ハリスが知的なプレイを披露するスピーディーなダンス・ジャズ・トラック「Hip Hoppin'」の素晴らしさも特筆に値する。一方、後者ではスタンダードを中心に、硬軟織り交ぜた演奏が繰り広げられており、そこからは前者とはニュアンスを異にした、よりモダン・ジャズのイディオムに忠実なアプローチが垣間見れるハズ。殊に、スウィンギーな「Topkapi」の仕上がりのよさが光る。
■エディ・ハリスの代表曲として有名な「Listen Here」や「Freedom Jazz Dance」は、クラブ・ジャズ界では早くから古典として崇められているのは、紛れもない事実。また最近では、UKのアクト、サッソが後者をカヴァーしたことも記憶に新しい。さらにジャミロクワイやメイシー・グレイ、DJジャジー・ジェフ・アンド・ザ・フレッシュ・プリンス、ヘヴィーD・アンド・ザ・ボーイズなどがハリスの楽曲をサンプリングしていることから、クラブ・ミュージック・ファンにおける彼の知名度の高さには計り知れないものがある。しかもモダン・ジャズのフィールドでも確固たる名声を築いているハリスだけに、本盤にはDJを含めたクラバーや年配のマニアックなジャズ・ファンをも巻き込む訴求力が備わっているのは間違いない。
■解説:北浦知司