ア・プー・ゾット A pou zot…
- アーティスト
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ヴィクトール・サバス・カルテットNULL
- レーベル
- ヴィヴィド・サウンド
- 商品区分
- CD
- 発売日
- 2009/11/18
- 品番
- VSCD9363
- 税込価格
- 2,860円
- シリーズ
- Production Dessinee
- ジャンル
- サブジャンル
- MODAL/CLUB JAZZ/SPIRITUAL
- バーコード
楽曲リスト
DISC1
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1. Mr J.C. (Victor Sabas
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2. Tradition (Victor Sabas)
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3. F.A. (Allan Hoist)
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4. A pou zot (Victor Sabas)
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5. Feliz (Dousty Dos Santos)
情感豊かなフルートが奏でる哀愁のメロディが余りにも美しいモーダルジャズ「A pou zot…」の素晴らしさを言葉で表現するのは無粋と言うモノ…。ただただ溜め息だけがこぼれ落ちるような、そんな儚さに彩られた名曲が眠っていました。フランス海外県ギアナの黒人ベース奏者、ヴィクトール・サバス率いるカルテットの極上サウンドに、大いに驚いて下さい。
本国は勿論、ここ日本でもその名を知られるフランスの歌手/俳優、またコメディアンとしても有名なアンリ・サルヴァドールの出身地としても知られるフランス海外県“ギアナ”。彼の地の黒人ジャズベース奏者、ヴィクトール・サバスが率いたカルテットが1986年に吹き込んだ、知られざるブラック・ジャズの傑作が本作です。その地理的な特殊性(南アメリカに位置する)からも推測可能な通り、本作は、その存在すら殆ど知られていないレベルの“怒”マイナーなアナログ盤オンリーの作品として密かにリリースされていました。唯一、この後にリリースされた2ndアルバム『Cassure』(コチラはCDのみ)が、マニアックなジャズファンにだけ知られているのですが、作品のクオリティに関しては、確実に本作『ア・プー・ゾット』に軍配が上がるでしょう。
マルティニーク出身のジャズピアニストMario Canonge、ブラジルのパーカッション奏者Dousty Dos Santos、グァドループ出身のドラマーSerge Marneに、ゲストとして参加したサックス奏者Allen Hoist(最近、マーヴィン・ゲイの「Inner City Blues」の激渋カヴァーがクラブジャズ/ソウルシーンで話題を呼んだ)はNYC生まれという、多国籍/多地域出身の黒人ジャズマン5人組が繰り出すサウンドは、コルトレーンの影響も色濃いモードジャズを軸にした、アフロ?カリビアン的なエッセンスを多分に感じさせる渋いモノですが、特筆すべきは全曲オリジナルという楽曲のクオリティの高さでしょう。長く美しいピアノの序章からドラマチックに展開して行くオープニング曲「Mr J.C.」を聴けばそのクオリティが簡単に伝わりますが、続くアフロ?スピリチュアルなフィーリングが渋過ぎる哀愁モーダル「Tradition」も高揚感溢れる名曲。一転、軽快なサンバのリズムに乗せ、明るくハッピーなフィーリングで駆け抜ける「F.A.」に続くのが、本作のハイライトにして衝撃の名曲「A pou zot…」。フルートが奏でる哀愁の旋律がとにかく素敵なこの曲は、美しいメロディを好むリスナーのハートを鷲掴みにする事でしょう。ラストは、重厚なスロウビートが秀逸なファンキージャズ「Feliz」。儚げなメロディは、ここでも華を咲かせています。
本作は、決してジャズのガイド本で紹介されているようなレア盤/人気盤という類いの作品ではありません。が、それは単にこの作品が“知られていない”だけであって、その感動的な音楽とは何ら関係ありません。超が付く程のマイナー盤の為、権利関係の調査/クリアランスにも非常に時間がかかりましたが、遂に紙ジャケ仕様で正規復刻です。プロダクション・デシネが手掛けた再発諸作の中にあっても、最も知名度が低く、レア度が高い作品です。誰も知らないけどホントに格好良い!そんな名作です、是非ともお試し下さい!
余談ですが、この作品のオリジナルのLP盤は、ちょっとやそっとでは入手出来ない鬼レア盤です。無論、前述通り、その内容の素晴らしさとは関係のない話ですが…。