わたしのまんなか MITT I MEJ

本作の音楽は、小さな女の子“アンナちゃん”と主人公の心のふれあいを描いたミュージカル『Herr Gud det ar Anna』の為に、モニカさんが曲を書き、Olle Pettersson氏が歌詞を付けた物なのですが、とにかく、その音楽のクオリティが子供向けとは思えない程の尋常では無い素晴らしさ。まさしく名作『ティレグィナン』を子供向けのソフトロック的に表現した、感動の名作なのです。

まずは名曲「ティレグィナン」をポップに仕立てたかのようなオープニングのタイトル曲「Mitt i mej [A]」が素敵過ぎるメロディの名曲。まるで子供のようにラブリーな歌声を披露する女性シンガーKajsa Staafの歌唱も衝撃的で、中盤から加わる子供達のバックコーラスの愛らしさも最高です。他にも、子供達の無垢な歌声が楽しい「Anna-Panna」、愛らしいピアノが転がるワルツの「Du tycker om mej」も、エレガントなピアノを軸にしたジャズ演奏がミラクルな名曲。さらに、スゴいのが子供達の達のラブリーなスキャットが最高にハッピーなラテンジャズ「Sangen om V-orden」。この曲はダンスフロアにも確実に笑顔をもたらす事でしょう。ラストを穏やかに飾る「Mitt i mej [B]」は、オープニング曲のVer.違いなのですが、感動が倍増したかのような、ドラマチックで泣けるジャジーアレンジでさらに最高なのです...。

愛らしいイラストが描かれたジャケットも秀逸で、中にはフルカラーのブックレットが封入されていて、全ての楽曲の歌詞、アンナちゃんにまつわるストーリーのテキストと、愛らしいイラストが描かれており、聴いて楽しい、見て楽しいと言う文句無しの出来映え。さらにさらに、まだこの作品には仕掛けがあって、全9曲が終了したら、さらにその9曲のインストVer.が収録されているのです。つまり、歌詞カードを見ながら、お子さんと一緒に歌ってみたりも出来る訳ですが、インストVer.と言う事は、つまるところがそれは、モニカ・ドミニクの“ジャズバンド”による、極上のジャズ作品でもある訳です。

以前、輸入盤の流通の案内を流したところ、嬉しい反響を頂き、急遽プロダクション・デシネのカタログとして、帯、日本語解説、歌詞とストーリーの翻訳を加えた特別仕様でリリースする事が決定しました。通常、プロダクション・デシネでは輸入盤の国内仕様と言う形式でのリリースは行いませんが、本作は別格。元々、3面見開きの素晴らしいクオリティのデジパック仕様であり、デザインも完璧で、しっかりしたブックレットも付属していると言う本作に改良を加える余地はありません。そんな訳で、今回はスウェーデン盤のオリジナルフォーマットに、翻訳と解説、帯を加えた形式で自信を持ってプロダクション・デシネのカタログとしてお届けします。

まずはその素晴らしく感動的な音楽に耳を傾けてみて下さい。

* 解説 : 山本 勇樹
* 翻訳 : 黒崎 麻矢