エストレラ ESTRELLA

マレーシアの4人組インディポップバンド、エストレラの衝撃のデビュー作にして最後の1枚となってしまった名作が本作。何と言っても紅一点のヴォーカリスト、リヤーナ嬢の瑞々しい歌声(でも、どこか艶っぽさも感じさせます。しかもこの子はヴィジュアルもカワイイのです)が素晴らしいのですが、程よい青さと切なさが完璧にマッチした良質のメロディ達、まるで90年代のスウェディッシュ・ポップの名作達を思わせるような清楚なギターポップサウンドに加え、センスの良いボサノヴァ~ジャズの要素も大々的に取り入れたサウンドが奇跡的。オープニングを飾る奇跡のギターポップ大名曲「ステイ」は、一聴で聴く者を虜にしてしまうような、輝かしい逸品です。

本国マレーシアではトップ・インディバンドとして認知されている彼女達ですが、本作『エストレラ』は、是非日本のリスナーにも聴いて欲しい圧倒的なクオリティと感動が詰まったインディポップ~ボサ~ネオアコ~ソフトロックを繋ぐ名作です。きっとその手の音が好きなリスナーが聴いたら一瞬でKOされるであろう大名曲「ステイ」がいきなりミラクルですが、続く軽快なボサノヴァ「サム・スペース」、同系でよりグルーヴィーな「フーリッシュ・センシズ」、「イッツ・ユー」に加え、ゆったりしたボサの「テルニャータ」、「ヘヴン」など、ホントにセンスの良いアコースティックサウンドを軸にした名曲のオンパレード。何よりもスゴいのは、楽曲のクオリティが一様にとんでもなく高いこと。素晴らしいメロディだけがぎっしりと詰っている点にご注目下さい。


エストレラ (Estrella)：
2006年に結成されたマレーシアの4人組バンド。バンドの中心はオリジナルメンバーである紅一点のSSWリヤーナと、ギタリストのヨブ。2007年にリリースされたデビュー作『エストレラ』は良質のインディポップ、ボサノヴァ?ジャズがギッシリと詰まった極上の作品で、名曲「ステイ」のヒットに導かれ、瞬く間に本国で大ヒットを記録。その翌年には幾つもの音楽賞を獲得し、彼等は一気にスターダムへと突き進む。残念ながらバンドとしての作品はアルバム『エストレラ』と数枚のシングルのみで、2009年には方向性の相違からバンドは解散。現在リヤーナはソロアーティストとしての活動を始めており、アルバムのリリースが期待される。バンドの名の由来はスペイン語の“Estrella(エストレジャ)=星”だが、本国ではエストレラと呼ばれている。