ガヨ GAYO

ミステリアスな雰囲気と圧倒的な歌唱力が魅力の女性シンガー、サヴィーナ率いる韓国のインディバンド、サヴィーナ・アンド・ドローンズ。2010年のデビューEP『Does to live』が韓国インディシーンで大きな注目を集め、その動向が注目された彼らの記念すべき1stフルアルバムが本作『ガヨ』です。クールさが際立つサヴィーナのヴォーカルが、時折垣間見せるエモーショナルな高揚感が生み出す独特の浮遊感は唯一無二のもので、作品を圧倒的な物に仕上げています。オルタナティブ・ロックを軸にしつつも、ソウル、フォーク、サイケ、ボサノヴァからフランメンコまで、雑多なエッセンスをギュッと凝縮したサウンドも壮大なスケールを感じさせる物で、一聴でその世界観に引きずり込まれてしまうほどの説得力に溢れています。

その圧倒的な歌声とギター一本で聴かせるオープニング曲「フォーティナインス・デプス・アビス」の強力なインパクトから圧倒的なスケールですが、フラメンコ調の「ムーンライト」、同じく執拗に繰り返すリズムの中毒性が高い「タイム」、フワフワした魔力的な浮遊感で聴かせサンバ調の「タイニー・スターズ・ブラックメイル」、クールなボサノヴァ「バッカー」など、その幅広い音楽性と、逆にそれを感じさせず、完全に自分のサウンドとして鳴らしてしまう説得力がスゴいです。何と言ってもその魅力が凝縮したのが、よりソウルフルでエモーショナルで、ドラマチックな楽曲群で、シンプルなアコースティックロックの「テイク・イット・スロウ・アウェイ」も素晴らしいですが、何と言っても甘美なピアノと泣きの入ったメロディ、圧倒的な高揚感に彩られたメロウソウルな「ホエア・アー・ユー」、「ステイ」の2曲が強烈。まさに、サヴィーナ・アンド・ドローンズの魅力の全てが詰まったスケール感に溢れた名曲達で病み付きになります。

ほぼセルフ・プロデュースでこのような作品を作り上げてしまう実力に驚かされますが、このサウンドを聴けば、彼らがホンモノだと言う事は誰にでも伝わるのではないでしょうか。また、アルバムの半分は英詞で歌われており（と言っても、歌唱に雰囲気がありすぎて、何語であろうとあまり気にならないとは思いますが…）、より多くの層に訴えかけるモノがあります。本国、韓国のインディシーンでも驚きと共に多大なる賞賛を受けた彼らのスケールを、是非感じてみて下さい。

サヴィーナ・アンド・ドローンズ (Savina & Drones) :
ミステリアスな雰囲気が魅力の女性SSW、サヴィーナが率いる韓国のインディ・バンド。ロックを軸に、ソウル、フォーク、サイケ、ボサノヴァからフランメンコまで、雑多なエッセンスをギュッと凝縮したサウンドと、時折エモーショナルに高揚するクールなサヴィーナのヴォーカルが融合した、唯一無二のスケールを感じさせるグループ。2010年のデビューEP『Does to live』が韓国インディシーンで大きな注目を集め、満を持して1stフルアルバム『ガヨ』を発表し、より精力的な活動を続ける。