ブリッグ（生産限定紙ジャケット仕様） BRIGG

本盤はペンシルヴァニア州ダンヴィル出身の3人組＜ブリッグ＞が73年にリリースしたファースト・アルバム。メンバーは、ラスティ・フォーク（ヴォーカル、ギター）、ロブ・モース（アコースティック・ギター）、ジェフ・ウィロウビー（ベース、フルート、ピアノ、ヴォーカル）の3人。大半の曲はロブ・モース在籍時にレコーディングされたものだが、リリースされたのは彼が脱退（71年頃）したあとのことで、実際アルバムには彼と入れ替わるようにして参加した3人の新メンバーもクレジットされている。当時は「ハイブリット・アイス・Co.(カンパニー)」と名のっていたがすぐに短く「ハイブリッヅ・アイス」と改名。つまりここには、ブリッグ名義ながらＨＩ期のレコーディングが3曲[1][3][5]含まれていて、それらはヘヴィなリズム・セクションをフィーチャーした、初期のグランド・ファンク・レイルロードあたりにつうじるエネルギッシュなロック・ナンバー。一方でモースのオリジナル[2][4][7][8]には、ディノ・ヴァレンテやアレキサンダー・スペンスのソロにつうじる西海岸のアシッド・フォーク風な味わいがある。その両者が絶妙にバランスをとりながらアルバムを構成しているのがミソ。その後、ＨＩとしてリリースした80年代の2枚のアルバムでは、ボストンやスティックスなどのＡＯＲ風アメリカン・ロックを志向。なかでもファースト『ハイブリッド・アイス』(82年）に収録されたラスティのオリジナル「マグダリン」は、トム・シュルツ率いるボストンの全米プラチナム・アルバム『ウォーク・オン』（94年）で取り上げられて有名になったグループの代表曲。ＨＩは09年に新作『マインズ・アイ』をリリースして現在も活動中だ。