セレモニー Celemony

今年もグラミー賞にノミネートされているキューバ人ピアニスト、オマール・ソーサ。既に20枚以上の作品をリリースし、常に新しいことに挑戦し続ける姿勢と独創的な音世界は、世界中で熱烈なファンを獲得している。
　故郷であるキューバの伝統音楽、セロニアス・モンクらのジャズ黄金期のピアニスト、西アフリカ、オークランド・ヒップホップ、そしてブラジルなど各地に散らばるアフロ系音楽の要素を吸収し、それらを再結合させるかのような汎アフロ音楽としての深くて壮大なオマールの世界は、既存のジャンルには収まりきれない。
　本作もそうした志向性を感じずにはいられない意欲作。あのブラジルの鬼才、ジャキス・モレレンバウムの指揮・アレンジによる北ドイツ・ラジオ所属のビッグバンドのサウンドが、オマールのピアノやマリンバとスリリングに調和し、モダンなアフロ・キューバン・ジャズを奏でている。
　重厚なホーン・アレンジをすり抜けていくスリリングなピアノ、ジャキスの優雅なチェロ・ソロ、名手フリオ・バレットとマルコス・イルカンによる安定した変拍子のリズム・キープなど聴きどころは満載。エレキベースはいつもの相棒、チルド・トマスが参加。