＆　ＴＨＥ　ＳＯＵＮＤ　ＶＩＳＩＯＮＳ　ＯＲＣＨＥＳＴＲＡ & THE SOUND VISIONS ORCHESTRA

アラン・シルヴァはフリージャズ黎明期から活動する音楽家で、伝説のセシル・テイラー・ユニットでの強烈なコントラバス演奏をはじめ、ジャズ10月革命に続いて結成されたジャズ・コンポーザーズ・ギルドでの教育、また渡仏後のヨーロッパに於けるジャズ教育など、欧米におけるフリージャズの骨格を築いてきた重要人物である。その音楽はコントラバスを中心とした演奏家として始まったが、次第にその形をアンサンブル、オーケストラ、またコミュニケーションに象徴される社会の領域へと拡大／発展させていった。本作は90年代のアラン・シルヴァの音楽性を語る上で欠かせない作品で、プレイヤーの自発性と全体のオーケストレーションを融合させるフリー・アンサンブルの見事な結晶。それは、スタープレイヤーを揃えながら方位を欠いて混沌へと埋没していったグローブ・ユニティとは対照的に、スタープレイヤー抜きで壮大なオーケストレーションを完成させ、またセシル・テイラーが掲げた「ストラクチャー」ではなく「コミュニケーション」を対象とした点も、時代におけるフリーミュージックの方位を示すものとなった。1999年5月31日、ニューヨーク録音。