デディケーション・トゥ・マイ・ジャイアンツ DEDICATION TO MY GIANTS

美しきディーヴァを数多く輩出するスウェーデン・ジャズ界。ここに新たな歌姫が注目の新作を発表した。彼女の名前はヴィヴィアン・ブクゼク。2003年にデビュー作「Can’t We Be Friend’s?」でポーランドのミュージシャンと共に制作したアルバムでデビュー。
その後、2007年にはイェスパー・シロなどスカンジナビアの人気アーティストと制作した「Straight From My Heart」を発表し、日本でも多くのファンを獲得。その彼女の待望の新作がこの「Dedication To My Giants/デディケーション・トゥ・マイ・ジャイアンツ」である。
この作品はタイトルの通り、彼女に多くの刺激と影響を与えてきたジャズの歴史的巨人たちに捧げるものであり、彼らの代表作を卓越したヴォーカリーズも交えて歌いあげている。伴奏を務めるピアニスト、クラエス・クローナはプッテ・ウイックマンなどと長年プレイをしてきたスウェーデン・ジャズ界の巨匠であり、ヴィヴィアンを長年に亘ってサポートしてきた良き理解者である。また3曲にギターの名手として近年スウェーデンのみならずアメリカでも注目を集めているアンドレアス・ウーベリがゲスト・プレイヤーとして参加、華麗な演奏で作品を大いに盛り上げている。
ヴィヴィアンの歌声は都会的に洗練された歯切れの良さとセンスが魅力。ややボーイッシュな歌声はヴォーカリーズにもマッチして、ジャズ・ジャイアンツが残した名曲、難曲の数々を実に軽やかに華やかに歌いあげる彼女の歌唱力は素晴らしい。またヴィヴィアンは11曲中、２、５，９曲目を除く8曲のアレンジとレコーでイングのミックスダウンも担当するなど、豊かな才能をこのアルバムで開花させている。これからの活躍が非常に楽しみなシンガーである。